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大阪地方裁判所 平成2年(ワ)608号 判決

原告

長江容子

被告

安田火災海上保険株式会社

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告は、原告に対し、金一二四九万一七三五円及び内金一一一四万一七四五円に対する平成二年二月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、交通事故で負傷した被害者から、加害車両保有者と自賠責保険を契約している被告に対し、自賠法施行令二条の併合五級の後遺障害が残つたとして、自賠法一六条により右等級に基づく保険金を被害者請求した事案である。

一  争いのない事実

1  事故の発生

(1) 発生日時 昭和六一年六月七日午前六時三五分ころ

(2) 発生場所 大阪市南区鰻谷中之町一九番地先市道交差点内(以下「本件交差点」という。)

(3) 加害車両 訴外國中剛(以下「國中」という。)運転の普通貨物自動車(泉八八さ四四八〇、以下「加害車」という。)

(4) 被害者 普通乗用自動車(大阪五九ほ三九五九、以下「原告車」という。)運転中の原告

(5) 事故態様 本件交差点に西から東に進入した原告車と北から南に進入した加害車が衝突したもの

2  原告の受傷

原告は本件事故により、左膝下腿打撲血腫、左後頭部・前胸部挫傷、頸部・顔面挫創、左第八ないし第一〇助軟骨骨折、外傷性頸部頭部症候群の傷害を負つた。

3  被告の責任

被告は、加害車の保有者である訴外國中修次との間で自賠責保険契約を締結した。

4  損害の填補(争いのない事実、弁論の全趣旨)

原告は、労災保険から二二五万円の支給をうけた(なお、自賠責から後遺障害分として一部保険金が支給されたことも争いがないが、その額について原告は四三万八二六五円、被告は六〇万円と争いがある。)。

二  争点

1  過失相殺

被告は、本件事故は、一時停止義務に違反して本件交差点に進入した原告の過失が重大で、八割の過失相殺がされるべきであると主張する。

2  原告の後遺障害の存否及びその程度

(1) 原告

本件事故による外傷のため、労災認定によれば労災障害等級第九級の七の二に該当する頭部・頸部・嗅覚・腰椎・膝関係の神経症状、第六級の一に該当する視力障害、第九級の七に該当する難聴、準用第一四級に該当する耳鳴、第一四級の九に該当する眩暈といつた後遺障害が残つたものであり、右は併合五級に該当することになる。

(2) 被告

原告が労働基準監督署から労災の障害等級併合五級の認定を受けたことは認めるが、原告の後遺障害の内容、程度については知らない。仮に障害があつたとしても、本件事故による外傷に基づくものは自賠法施行令二条別表後遺障害別等級表第一四級一〇号に該当する外傷性頸部症候群による頸部痛等の局部症状に止まるものであり、視力障害・難聴については、仮に右障害があつたとしても、外傷由来の他覚的器質損傷の裏付けがなく受傷態様、症状経過等からして本件事故外傷に起因するものとはいえず、右各障害は本件事故と因果関係がない。

3  損害額

第三争点に対する判断

一  過失相殺

1  証拠(乙一、検甲一ないし三、証人國中)によれば、以下の事実が認められる。

(1) 本件事故現場は別紙図面(以下、地点の表示はこれによる。)記載のとおりであり、東西に延びる車道幅員四・二メートル(両側に各約一・六メートルの路側帯)の道路(以下「東西道路」という。)と本件交差点北側が車道幅員九・二メートル(両側に歩道)南側が車道幅員三メートル(両側に各一・五メートルの路側帯)である南北に延びる道路(以下「南北道路」という。)とが交差する信号機による交通整理の行われていない十字型交差点である。東西道路は東行の一方通行で、本件交差点西詰には一時停止標識が設置されていた。また、南北道路は本件交差点南側部分は南への一方通行道路である。両道路とも最高速度が時速二〇キロメートルに規制されたアスフアルト舗装の平坦な道路であり、南北道路を南進する車両と東西道路を東進する車両との相互の見通しは北西角の建物のため不良であつた。

(2) 國中は、加害車を運転し、時速三〇キロメートルを超える速度で、南北道路を北から南に直進したところ、〈2〉点で一時停止を怠つて減速もせず、本件交差点に西から東に進行してきた原告車を〈ア〉点に発見し、急ブレーキをかけたが、及ばず本件交差点中央付近で東西道路を西から東に直進中の原告車の左側面部に衝突した。衝突後、加害車は〈4〉点、原告車は〈ウ〉点に停止した。

原告車には、左方ボデイ擦過凹損、フロントグラス破損、ギア破損の損傷が、加害車には前部バンパー曲損、前照灯・方向指示器破損の損傷が残つた。また、原告は前記の傷害を負つた。

なお、原告は、本件交差点で一時停止したとは思うが、分かりませんと本人尋問において供述するところであるが、原告が進入してきた本件交差点西詰の停止線は北西角の建物の東端の延長線上であつて、南北道路西側には二・九メートルの歩道もあること(前掲乙一)によれば、原告が一時停止して左方を確認すれば、十分見通しが可能であり、両車の前記損傷状況、停止位置に照らすと原告車が停止線で一時停止して確認しても発見しえない地点から加害車が高速度で本件交差点に進入したとは到底認められず、原告の一時停止したとの供述は採用できない。

また、原告が速度違反をしていたかについては、証人國中の原告が速度違反をしていたとの証言はあるが、右証言も推測に基づくものに過ぎず、両車両の損傷の程度、衝突後の停止位置等によつても原告車の速度違反の事実を認めることはできない。

以上の事実が認められる。

2  右事実によると、本件事故は國中に左方の安全確認を怠り、速度違反をしたまま本件交差点に進入した過失により惹起されたものではあるが、一時停止を怠り、減速をしないまま本件交差点に進入した原告の過失も重大といわざるを得ず、前記事実を総合すると、國中と原告の過失割合は國中が三、原告が七と認めるのが相当である。

二  原告の後遺障害の有無、程度

1  争いのない事実、証拠(甲一ないし七、一〇ないし一七、二二の3ないし7、16、乙三ないし五、一三ないし一五、原告本人)によれば、以下の事実が認められる。

(1) 治療経過、症状固定時の症状

原告は、辻外科病院(以下「辻外科」という。)に昭和六一年六月七日から同年八月一六日まで入院し、翌一七日から昭和六三年七月六日まで通院し、同日症状が固定したとされた。

症状固定時の症状は、自覚症状として「後頭部痛。首筋がだるく動かすと痛い。両手・指のしびれ。肩こり。腰背痛。めまい。立ちくらみ。耳鳴がある。疲れやすい。目が見えにくい。耳が聞こえにくい。」といつた症状が残り、他覚的所見として「レントゲンでは頸椎前屈位第二ないし第五間に不安定性があり、直線化を呈す。中間位第四、第五間に不安定性あり。変形性頸椎症の進行があり、椎間孔狭小が全体にある。若干右に対して側弯位がある。左膝は十字靱帯起始部の変形、ことに前十字靱帯起始部の所にカルシウムの沈着がある。変形性腰椎症がある。CTスキャンでは、脳室内にカルシウム沈着がある。前頭葉と前頭骨間に前方に限り若干のエフヂヨンがある。脳波は低電位という点からみれば脳循環障害が推察される。」が認められた。

(2) 神経症状について

平成二年六月二二日の大阪労災病院整形外科での診察では、原告の「〈1〉階段を下るとき左膝が痛い。〈2〉左下肢をかばつていると右腰、右膝が痛くなる。〈3〉時によつては、左腰も痛くなる。〈4〉時々、気分が悪くなる。〈5〉両下肢がだるく、むくんでくる。〈6〉夜も両膝が痛い。」との自覚症状を確認したうえで、頸部・膝・股関節の可動域の検査、レントゲン検査等がなされ、「原告の訴えが腰痛、膝に痛みが集中しているが、レントゲン検査での所見などから整形外科的に考えられるのは、腰椎椎間関節の関節症、膝関節症ぐらいであつて、どこを押さえても痛がるといつた圧痛点の広範さ、限局のなさは理解に苦しむ。神経学的にも異常なく、隠れた病変部位を疑うには余りに症状が不確定すぎる。従つて、現在の症状は、腰痛、膝関節痛を中心とし、それに心因的な要因が病像を修飾しているのではないかと考える。椎間関接性腰痛、膝関節症は加令的変化を基礎とするが外傷による誘発、あるいは増悪とも考えられるので、事故との関連による疼痛増悪に加えて、精神的な不安、動揺が全身的な症状となつて持続しているものと考えられる。」と診断し、局部の頑固な症状で労災障害等級一二級相当との所見が示されている。

平成二年八月一一日の同病院脳神経外科での診察では、自覚症状として「〈1〉頭痛、頸部痛、頭重、雨天時増強、一か月に一回位ズキンと痛む。甚だしい時には吐き気又は嘔吐を伴うことあり。〈2〉右上肢しびれ感(肩から指尖にかけて)、運動麻痺はない。〈3〉左膝関節の痛み、杖歩行。〈4〉寝ている間に尿失禁、〈5〉嗅覚低下(外傷後)」を訴え、検査結果は「頭蓋骨のレントゲンでは著変なし。頸椎のレントゲンでは第五、第六頸椎に骨棘が認められ、頸椎症(外傷と無関係)、眼底検査著変なし。脳波についてはα波の出現率が低く、全誘導に低振幅速波重畳が見られるが、異常発作波を認めず。MRIでは両前頭部硬膜下腔の拡大が見られる他、脳髄に異常を認めず。握力は右一四、左三三(いずれもキログラム)。四肢腱反射正常、病的反射なし。平衡機能検査異常なし。右僧帽筋等に圧痛。頸椎可動域は全体に軽度の疼痛による可動域制限を認める。右屈時疼痛増強。」というものであり、右の診断から医師は「自覚症状〈2〉は頸部起因。〈5〉の嗅覚低下は外傷関連と考えるか。〈3〉は整形外科医の意見参照のこと。〈1〉、〈2〉、〈5〉を含めて第九級の七の二あたりが妥当と考える。〈4〉尿失禁については泌尿器科の意見を参照してください。」との所見を示している。

(3) 視力障害について

本件事故後、六か月経過して視力の低下に気付き、辻外科病院の紹介で昭和六一年一二月二四日に大阪警察病院で検査したところ、裸眼視力は右〇・一、左〇・一五、矯正視力は右〇・六、左〇・三であり、視野は全体に狭窄し、管状視野様(距離を離しても同範囲しか見えていない視野)であつたが、中間透光体、眼底には異常を認めず、検査結果につき、つじつまがあわないこともあり、視力低下の原因は不明であつた。同病院では頭頸部循環障害の疑いと診断しつつ、精神的なものも加味されているかもしれないとの所見も示していた。

その後、昭和六三年七月一五日付の新千里病院での診断書では、昭和六二年二月に初診して、昭和六二年四月四日の検査結果を踏まえ、「添付視野表のとおり中心暗点を認める。中心cffも低下しているが視神経乳頭にはずつと蒼白を認めていない。前眼部、中間透光体、眼底にはいずれも著変を認めない。以上より頭蓋内での視神経障害(物理的または虚血性)が疑われる。初診時以来殆ど症状は固定し、変化をみとめていない。左右視力はいずれも〇・〇五、いずれも矯正不能」としている。

さらに、平成二年六月一五日の大阪労災病院での診察では、「左右視力いずれも〇・〇三、右は矯正不能、左は矯正視力〇・〇七。視力検査の結果は体調により動揺する傾向あり。視野では両眼ともにラセン状視野を呈する。眼底は特に異常を認めない。」というものであつた。

(4) 耳の症状について

大阪警察病院での、昭和六二年二月四日の検査でオージオグラムによる聴力検査がされ、右は聾の状態であり、感音性難聴を認めた。鼓膜所見正常、鼓膜可能性良好でレントゲンでは内耳道に異常は認められず、ABR(聴性脳幹反応)、ENG(電気眼振図)の他覚的検査は原告が希望しなかつたので施行しなかつたが、右突発性難聴と診断された。

昭和六二年三月に大阪警察病院の紹介で新千里病院で受診したが、右骨導スケールアウト、左気導二〇ないし三〇デシベル、気導骨導差なしとの所見が得られ、右感音難聴、耳鳴症と診断され、神経賦活剤を投与しての治療がなされたが改善されなかつた。

平成二年六月二七の大阪労災病院での診察では、原告の右難聴、耳鳴めまいの主訴に対して、検査がなされ「両鼓膜著変なし。側頭骨X線に著変認めず。平均聴力右一一五デシベル、左三八・三デシベル、聴性脳幹反応検査で、第V波域値は右―九〇デシベルにても第V波を認めず、左―六〇デシベルまで第V波を認める。平衡機能検査である眼振検査・温度検査はいずれも異常を認めず。」との結果が認められ、医師は「難聴については平均聴力により一耳の聴力を全く失つたもの(九級の7)に該当する。耳鳴については一四級を準用する。めまいについては、めまいの自覚症状はあるが、他覚的に眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められないもので単なる故意の誇張でないと医学的に推定されるもの(一四級の九)に該当する。」との所見を示している。

(5) 原告は、本件事故前、健康で、大阪市内のサンプレ株式会社で栄養士として稼働していたものであり、免許証取得に当たり眼鏡使用を条件されることもなく視力に問題はなかつた。

以上の事実が認められる。

2  ところで、原告の神経症状について九級との意見を述べている大阪労災病院脳神経外科医の所見は、他覚的所見としては第五、第六頸椎に加令性の骨棘、握力低下、一部筋肉の圧痛、疼痛による頸部の軽度の可動域制限を指摘するのみであり、同病院整形外科医の、神経学的所見が認められず、また、症状の不確定さから病変部位も明らかでないとする前記所見に照らすと、とうてい九級との意見を採用することはできない。また、右大阪労災病院の診察結果に照らすと、辻外科病院医師の後遺障害診断書での脳循環障害が推察されるとの所見も原告の自覚症状が多岐にわたり、対応する他覚所見が得られないことから、脳循環障害を疑つたものにすぎないと認められ、これも、右の程度の後遺障害を裏付ける根拠とならない。

しかしながら、本件事故前に原告は、何ら神経症状がなく、稼働能力に制限がなかつたものが、本件事故後神経症状が発症したことは明らかであり、右によれば、椎間関節性腰痛、膝関節症、頸椎の骨棘形成等の加令的変化に本件事故による外傷が加わつて発症したことが推認され、医学的説明も可能であることによれば、原告の諸症状は腰痛、膝痛等右の要因によるものについて局部の頑固な神経症状として、自賠法施行令二条別表後遺障害別等級表一二級一〇号に該当すると認められる。

3  次に、視力障害について検討すると、原告の視力は左右とも〇・〇三で右は矯正不能、左は矯正視力〇・〇七であることから、労災六級との認定をうけたものであるが、原告が視力の低下に気付き、眼科医で受診したのが昭和六一年一二月二四日であり、本件事故後六か月が経過してからであり(退院後四か月)、発症時期から本件事故との因果関係に疑問があるばかりでなく、原告の前眼部、中間透光体、眼底、視神経には異常は認められず、視野狭窄についても「管状視野」、「ラセン状視野」というもので、視野狭窄の症状としては不自然であること(視野は例え狭窄していても、距離を変えて測定すれば、視野面積が異なるはずであるのに変わらないとか、一定の距離のもとでの測定による視野は不変であるにもかかわらず、或る距離での視野が一旦離して元に戻すと異なるといつた症状は不自然というべきであり、脳循環障害、頭蓋内での視神経障害による視野狭窄であれば、かかる症状を呈することは疑問であり、右の障害を推察した医師の所見が却つて疑問ともなる。)、また、一時は両眼とも矯正不能であつたのが左眼は僅かではあるが矯正可能となつていることによれば、原告の症状が本件事故による外傷に基づく器質的障害によるものであるか疑問で、前記大阪労災病院の整形外科医の所見を考慮すると、単に心因的な症状に止まるものではないかとの疑問を払拭しえないものであり、視力障害を本件事故による後遺障害と認めることはできない。

4  最後に右耳の聴力障害について検討すると、原告は、辻外科病院のカルテによるかぎり、耳鳴については、本件事故後一か月後の七月八日に訴えたが、翌月から訴えず、難聴については、カルテには記載がなく、何時発症したか明らかではないが、昭和六二年二月に初めて耳鼻科医で受診していることからすると、その頃と推認されるところ、本件事故後右受診までの期間を考慮すると、前記視力障害と同じ疑問があるうえ、本来であれば原因を明らかにして、適切な治療を受けるべく受診したはずである初診時にABR(聴性脳幹反応)、ENG(電気眼振図)の他覚的検査を希望せず、単にオージオグラムによる聴力検査で難聴とされているだけで、治療態度に疑問があり、また、本件外傷による器質的障害は認められなかつたこと、前記神経症状に照らしても、前記の心因的要因を否定することができず、難聴、耳鳴と本件事故との因果関係を認めることはできない。

5  前記認定の事実によると、本件事故と相当因果関係のある原告の後遺障害は、腰痛、膝痛の神経症状にとどまるものというべきで、右は自賠法施行令二条別表後遺障害別等級表の第一二級一二号に止まるものというべきである。

三  損害額(以下、各費目の括弧内は原告主張額)

原告は前記後遺障害による逸失利益、慰謝料として、後遺傷害等級五級の自賠責保険限度額一三八三万円(平成三年一月二二日改正前の自賠法施行令二条別表)を超える損害があつたとして、自賠責保険、労災保険からの支払を受けた二六八万八二六五円を控除した一一一四万一七三五円及び弁護士費用一三五万円を請求する。

1  後遺障害による逸失利益 三一五万六五〇四円

証拠(甲一九)によれば、原告は、本件事故当時、四六歳の健康な女性で大阪市内のサンプレ株式会社で栄養士兼調理師として稼働し、事故直前三か月は平均給与一五万三四六五円を得ていたものであること、前記のとおり、原告には一二級一〇号の神経症状を主とする後遺障害が残つたことが認められることなどの事情に照らすと、症状固定時の四八歳から六七歳までの一九年間一四パーセント労働能力を喪失したと認めるのが相当である。前記給与所得を基礎に逸失利益の現価を算定すると、三一五万六五〇四円となる。

(計算式)153,465×12×0.14×(14.104-1.861)=3,156,504

2  後遺障害慰謝料 一八八万円

前記認定の後遺障害の程度などの諸事情によれば、一八八万円が相当である。

3  小計

以上によれば、原告の本件事故による損害額(弁護士費用を除く)は五〇三万六五〇四円となり、前記過失相殺により七割の控除をすると、一五一万〇九五一円となる。

右損害額は、原告自認の既払金二六八万八二六五円にに満たないことは明らかであり、原告の後遺障害に基づく損害は既に填補されていることになる。

四  以上によれば、原告の請求は理由がない。

(裁判官 高野裕)

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